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2012年3月23日金曜日

まとめ:肺血栓塞栓症(空気塞栓などは別頁)


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基礎知識
□麻酔科が関与するPTEのうち14~16%が術中発症である(怖)
□APEの原因となるDVT患者のスクリーニングには、臨床症状(下腿の腫脹や発赤、痛みなど)と血清D-dimer(術中には手術侵襲で上昇するため鋭敏な指標ではない)
□DVT患者ではリスクの階層化に従い、理学的療法や抗凝固療法で予防(DVT予防とリスクでは別項目でまとめます)

分類
□massivePE:左右主肺動脈などの中枢の血栓塞栓。急性右心不全から循環虚脱(低血圧、ショック、心肺停止)
□sub-massivePE:血圧は維持されているものの右心不全徴候あり
□non-massivePE:右心不全を伴わずに、低酸素血症やEtCO2の低下のみ認める。


症状・徴候
※意識があれば
□胸痛
□呼吸困難
□咳・冷感
□頻呼吸(>20回/分)
□頻脈、発熱など
※意識がなければ
□低酸素血症、酸素飽和度低下
□血圧低下・ショック・最悪心停止
□EtCO2低下(EtCO2-PaCO2較差増大)
□右心不全徴候(頸静脈怒張、頻脈など)

検査
□血液ガス:低酸素血症、EtCO2-PaCO2較差増大
□心電図:右心不全があれば右脚ブロックなど
□D-dimer:除外診断には有用。手術侵襲で上昇することが多いため、診断価値は低い。
□肺血管造影(手術室で可能。施設による)
□胸部造影CT:確定診断
□超音波(TTE、TEE):右室負荷所見(拡張終期の著明な右室拡張、心室中隔が左室側へ張り出す心室中隔奇異運動、右室壁運動低下)、左室の扁平化⇒sub-massive以上のAPEで。TEEは左右中枢肺動脈における血栓塞栓の直接診断で頻度が高い。

治療
□バイタル維持(輸液、各種昇圧薬)、心肺蘇生
□心停止またはそれに準ずるような循環虚脱が生じれば、CPRを行いながら補助循環(PCPS)の準備。
□状況、施設によっては経カテーテル的治療(血栓吸引、溶解)、外科的血栓塞栓摘除術
□抗凝固療法:ヘパリン5000単位静注後1400単位程度/h持続。APTTを対照値の1.5~2.5倍に維持。
□血栓溶解療法:ウロキナーゼやモンテプラーゼ。術中は使用しにくいが、蘇生に反応しない症例に対して、出血を考慮しても有用であるとのデータもあるよう。
□予防には未分画ヘパリンや低分子ヘパリン(日本適応未)、フォンダパリヌクスを用いる。ワーファリンは術中APEや術直前のVTE予防の適応はない。一般的にはヘパリン投与後の継続的な抗凝固療法として使用する。PT-INRは1.5~2.5に維持する。

麻酔科医としての急性期の対応
□術者に知らせ、手術一旦中止。応援の麻酔科医を集める(hurry call)
□術中APEが生じた時のプロトコールが各施設で決まっていればそれに従う(術中肺動脈造影や治療など)
□TEEなどで診断できれば診断。
□抗凝固療法(ヘパリン5000単位iv)
□バイタルの維持に努める(輸液、昇圧薬)






















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