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2015年11月2日月曜日

体験談㉜(第54回麻酔科専門医試験)




<筆記試験対策>

一年前の専門医試験が終わった頃から、そろそろ勉強を始めようと思い、良い機会だからと生理学を勉強し始めました。
が、日々の臨床業務に忙殺されるなかで、殆ど進みませんでした。このままでは時間切れになると感じ、とにかくまず
過去問を始めようと4月頃に舵を取り直しました。医局の先輩方に聞いた、「ともかく5年分を3周」、という目標です。
はじめの1冊は問題文の意味すらよく理解できず、1問解いて解答を納得するだけで1日の勉強が終わる、といった有り様でしたが、
なんとか1ヶ月ほどかかって1冊が終わりました。覚えるべき事項はノートにメモし、すきま時間に見直せるようにしていました。
その後日常業務がまた忙しくなったこともあり、7月に入るまでほぼ何も勉強できない日々が続きましたが、あと2ヶ月しかないという
ことに気づいてからまたエンジンを入れ直しました。青本もこの頃に購入させていただきました。

2冊目以降は見た事のある問題も多く、1冊目よりはさくさくと進みます。
何冊もやっているとそのまま同じ問題も出てきたりするので、選択肢がX2になっていても答えられるように覚え込んでいきました。
計算問題、生理学の問題はやはり丸覚えだけではきついところもあるので、適宜生理学の本等も読みながら理解しました。
使った本は
・青本(イヤーノート的感覚で使わせていただきました)
・循環・呼吸のダイナミズム(この本に載っている図表を理解できればほぼ生理学の問題は解けるはずです)
・ウエスト呼吸生理学
・学生時代の薬理学、生理学の教科書(学生時代もっとまじめにやってれば、と思う事しきり)
・ミラー(麻酔回路等の話では最も参考になりました)
挫折した本は
・臨床にダイレクトにつながる循環生理(良い本だと思いますが、試験の様々な出題範囲をカバーするためにはやや深く、時間切れ
になる恐れあり。これからゆっくり読み直します。)


9月に入ったころ、同期から「過去問は7年分やると一通り出題範囲をカバーできる」という話を聞いて、
それまでの5年分に加えてもう2年やることにしました。C問題は古くなっているところもあるので、どんな疾患が出ている
かチェックしながら流しました。結局5年分×3周、もう2年分×2周はしました。

シルバーウィーク前にたまたまLisaを読み、「この雑誌はひょっとして専門医試験対策レベルに合わせているんじゃないか」
ということに気付き、そこから大急ぎでここ2-3年分のバックナンバーを読み直しました。最近のトピックをカバーするには最適です。
シルバーウィークにタルんでしまうのが怖かったので、毎日同期と医局に来て勉強しました。精神的に一番つらい時期でしたが、
誰か一緒に勉強できる仲間がいる場合には是非やった方が良いと思いますし、それぞれの穴をお互いが埋めることで仕上げにもなります。
前日は計算問題を取りこぼさないよう、計算問題を集中的にやり直し、除外問題の解答を調べ、今までメモしてきたノートを見直しました。
麻酔科学会のHP上のガイドラインにも一通り目を通しました。

<口頭・実技試験対策>
8月頃から青本の過去問、予想問題を紙に書くという練習を始めました。
本番だと2問の紙が配られて5分与えられると聞いていたので、5分間で症例の要点や聞かれそうなことを
メモするという練習です。一通りの頻出項目はチェックしました。紙には書けてもいざしゃべると出てこない
ということもあったので、同期と問題を出し合って練習しました。
実技に関してはCTM穿刺のキットを職場の救急カートで見直したり、CV穿刺する際の注意事項を
ガイドラインで読み直したりしました。
ACLSに関しては医局のインストラクターにお願いして簡単にレビューしていただきました。
麻酔機の始業点検も院内の臨床工学技師さんに依頼して講習をやっていただきました。毎日1回は
フルで始業点検し、体がかってに動くところまでもっていきました。

<筆記試験当日>
東京会場でした。A問題はほぼ過去問通り。歴史の問題でx2だったのがそこですか、という感じがした以外は例年どおりの雰囲気です。7年分やって初見の
問題は1問あったかどうかでした。B問題は新作もいいところで、選択肢の単語すら初見の問題が数多くありました。
C問題は例年と比べてTEEの具体的な所見を問う問題が多発。先天性心疾患のTEEも出ました。
ICU、緩和も具体的な症例問題で逆に一般的な麻酔管理中のトラブルなどはほとんどなかったような。。
手応えはA問題95%B問題50%C問題60%といったところでしょうか。

今年から新専門医制度の研修が開始されたこともあってか、偏りなく経験、勉強するようにとのメッセージを感じました。

ABCの各セクション毎、一定時間を経過すると問題を持ったまま退出できるので、 早く出て答え合わせをしました。
同一疾患が繰り返し次のセクションでも出るので、この見直しは有効だったと思います。

筆記試験当日の夜はさすがに一息入れ直したいと思い、同期と飲みに行きました。

<筆記試験終了~口頭試問まで>
1週間弱ありましたが、筆記試験の疲れと、臨床業務でなかなか勉強する時間を作れず、、
とりあえず青本を行き帰りの電車で読み、同期に会えば問題をだしあって、といった感じでした。

<口頭試問前日>
同期で集まって夕飯を食べ、その後みんなでヤマはりをしました。
青本見ながらブロックの解剖を書いたり、ACLSのおさらいをしていたことが本番でも役にたちました。

<当日>
とにかく集合時間から、呼ばれるまでの時間が長いです。
控え室で資料を読みますが、もう何も頭に入ってはきません。
本を読んでも目の前をさーっと上滑りしていく感じです。

ドナドナエレベーターは満員電車なみの圧迫感あり。
口頭試問の部屋の前で係の方から問題2問を渡してもらうのですが
最初に名前を書くようにと言われても、すっとばして要点を書き始めてしまう程緊張しました。

新生児の肥厚性幽門狭窄と、AS合併の出血した胃癌の緊急手術
部屋に入った瞬間、頭が真っ白になる。
試験官は割と若い女性と、ベテランの男性。
いきなり問題を出され、「あの、問1の方ですよね?」と完全にテンパって聞き返す始末。
肥厚性幽門狭窄の症例で、術前に確認する身体所見を問われ、よくわからなかったので
「Hbが~」と話し始めると「身体所見をお願いします」と修正される。
以前どこかで医局の上司に聞いた、「分からなかったら悩んでると時間なくなるから、
降参してさっさと次の問題を出してもらいなさい」というフレーズがあたまをよぎり、
何個答えてください、という問題で数を明らかに満たしていなくても「分かりません」を
連発。しかも電解質補正の基準をど忘れし、明らかに違う基準の数字を答えたのですが
試験官はうなずいてくれるので余計に混乱する。そんなこんなであっという間に
1問目が終了。分かりませんて言い過ぎたかな、と思っているうちにすかさず2問目スタート。
最初が外科医とのやりとりだったためここだけは普段通りの解答ができる。麻酔の手順を具体的に
、と言われてモニターつけて、酸素化して、、と言っていたら「この症例に特化したことを」
と遮られ、また真っ白になる。あとで会場を出てAライン、輸液ルートうんぬんだな、と冷静に気づくが、頭真っ白状態でははっきり言って何も出てこず。分かりませんを連発していた私に、それまでは
さっさと次の問題へ移っていた試験官が術中のST変化の原因について考えられること、を聞いてきた時だけは「他にまだありませんか、他には、?」と粘るように促してきたのでこれかなり崖っぷちなんじゃ?という思いに捉われ、その後聞かれた術後覚醒遅延の原因に関しては7つといわれたがおそらく正解になったのは3つほどしか出てこず、「分かりません」を言うと、「ではこれで口頭試験終了です」と言われあっけなく終了。昨年までの体験談にあるような雑談は一切なしでした。
ああやっちまった、来年もこれ受けるんだろうかと暗澹たる気持ちで部屋を後にしました。
ふと時計をみると時間は4分ほど余っていたのですが、もう凹みまくりで実技を待ちます。

実技は一部屋で2-3個の手技をやるため、とにかく急ぎます。
研修医に説明するようにと言われますが、自分よりはるかにベテランの先生方を研修医とは
とても思えません。素人つれてきてほしいなーと思ったぐらいです。
始業点検は出ず、ACLSは挿管されていないのでマスク換気をするパターンでした
ところどころ研修医役がサボろうとするので、指摘しつつ心マしました。
TEE、ブロックなど万遍なく出ました。

<試験を終えて>
口頭試問で「もう終わった」という気持ちでいっぱいでしたが、試験後に同期と話して
「時間が余っていれば合格ラインはクリアなんじゃない?」と言われ、かすかに希望を持ちなおしました。
それでも合格発表までは気が気じゃありませんでした。
今冷静に考えると、答えられない問題が強く記憶に残るだけで、答えられた問題もそれなりにあったな、と
思い返せますが、試験官があまりの緊張っぷりに同情して点数をくれたんじゃないかとも思います。
筆記、口頭実技を通して感じたことは、
いずれにせよ、専門医試験は長いキャリアの中での通過点であり、合格してもまだまだ勉強が必要である、
ということです。普段どんなヤバい急患でもそれほど緊張しないのですが、あの試験会場ではこれまでにないくらい
緊張しました。普段の力の半分も出せないような状況に陥ってもなんとか切り抜けられるようなレベルにするためには、
普段からの積み重ねしかないのだなと、ひしひしと感じました。そして、試験には青本必須ですね。会場でも
かなり見かけましたし、何をすればよいか分からない直前にはとりあえず青本を開くと精神的に落ち着くと思います。
HP上の体験談とあわせて、本当にお世話になりました。

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