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2016年3月2日水曜日

体験談㉞(第54回麻酔科専門医試験)



*口頭試問*
<一問目>
7才女児  普通の体格

嘔吐、歩行時ふらつきを主訴に来院、頭部CTで脳腫瘍を指摘。MRI検査(所要時間は約1時間)を実施することになり、麻酔科へ麻酔依頼があった。

①この女児の症状から考えられる病態は?2つ答えてください。
(→頭蓋内圧亢進、小脳失調が疑われることを答えました)

②全身麻酔を行う際、MRI室で注意すべき事は?4つ答えてください。
(→喉頭鏡の電池はマンガンではなくリチウムを使用する、金属製のコードは使用しない、麻酔回路や点滴ルートを充分に延長しておく、ETCO2をモニターするが赤外線は不可、等々を答えました)

若干答えに詰まっていたら、制限時間が来るまでは、試験官の先生が軽くヒントを与えたり、正答へ繋がるような誘導をしてくれました。

③プロポフォールで麻酔することになりました。
導入量および維持量はどれくらいにしますか?
また、プロポフォール使用上の注意点を述べてください。
(→TCIポンプは使用不可、あるい磁場の外の部屋に置いて使用する、麻酔器・モニターともMRI対応のものを使用する、救急カートを磁場の外に準備しておく、等々を答えました)

その後、部屋のテレビ画面に、撮影されたMRIの画像が提示されました。(→後頭蓋窩に大きな腫瘍を認めました)

脳腫瘍摘出術が予定されることとなりました。体位は腹臥位です。

④ABR、MEPをモニターすることになりました。注意点を述べてください。

⑤術中輸液は何を用いますか?どれくらいの速度で入れますか?

⑥術中、頭蓋内圧を下げるよう、執刀医から依頼がありました。
どのように対応しますか。3~4つ答えてください。

⑦手術は10時間かかって終了しました。どのように対応しますか。
(→抜管するかは慎重に判断し、決して無理をしない旨を答えました。)

⑧未抜管でICU帰室となりました。帰室後、SpO2が急激に低下し、モニター上にETCO2波形が表示されなくなりました。 
考えられる原因を4つ述べてください。 
(→痰などによる気管チューブの閉塞、肺塞栓、アナフィラキシー等々を答えました)



<二問目>
77才女性 やや肥満体型

イレウスに対し、腹腔鏡下腸切除術が行われることとなった。
高血圧あり。
心房細動、脳梗塞の既往ありプラザキサ内服中。
糖尿病に対しインスリン使用中。

①術前問題点を述べてください。

②麻酔導入はどのように行いますか。何に注意しますか。

③麻酔法は何を選択しますか。

④術中、血糖値はどれくらいに保ちますか。輸液は何を用いますか。

⑤プラザキサの内服は術前どのようにしますか。

その後、部屋のテレビ画面に、術前血液検査データが映しだされました。
(→PT、APTTとも正常値でした)

⑥プラザキサとワーファリンとの違いは?

主治医より硬膜外麻酔の依頼がありました。

⑦硬膜外麻酔実施に際し、術前にチェックしたいこと、主治医に依頼したいことは何ですか。

⑧術後のDVT予防法を4つ答えてください。

⑨この患者のDVT発症リスクはどれくらいですか?またその根拠を述べてください。

術後、DVT予防のため、未分画へパリンを使用することになりましたが、硬膜外チューブを抜く前にヘパリンを始めてしまったと、主治医より報告がありました。

10.主治医に注意点を申し送ってください。



*実技試験*
<一つ目のブース>
①迅速導入
患者は成人男性とのこと
☆必要物品は何か、(気管チューブ、スタイレット、喉頭鏡、吸引、アンビュー、聴診器など)、導入の流れ、薬剤投与量について具体的に聞かれました。
☆男性の場合、チューブサイズは?(机の上には7.0ミリのチューブしか置いてなかったです…)
☆まず酸素化、何分くらいする?
☆プロポフォールやエスラックス、どれくらいいれる?
☆クリコイドプレッシャーについて
☆薬を入れて何分経ったら挿管する?

実際にマネキンに挿管して、アンビューで換気して胸の上がりを確認するところまで実演しました。

②CVCI
☆この患者が、挿管困難かつ、マスク換気もできなかった場合、どんな手段をとりますか?
→輪状甲状間膜穿刺

そこで別のマネキンの前に移動し、実際に行ってみてくださいと言われました。
キットは二種類用意されていて、どちらでも慣れているほうを使っていいとのことでした。
☆挿入する解剖学的場所は?
☆なぜそこがよい?
実際に挿入完了するところまで実演しました。

<二つ目のブース>
③カイザー 腰硬麻
☆エピは何番目の脊椎間から入れる?
☆実際に清潔操作で手袋をはめてください
☆消毒をしてください。注意点は?

そして実際に穿刺し、生食でロスオブレジスタンスを確認し、カテーテルを入れるところまで実演しました。

④傍脊柱管ブロック 
☆エコーで肋骨横断面を出してください
☆肋間神経はどこを走行している?
☆肋間にある筋肉を三つ言ってください(この質問は採点には関係ないからね~とのことでした)

<三つ目のブース>
⑤ACLS 成人 気管挿管済み
心電図モニター上は洞性頻脈で、患者の脈は触れない状態とのこと
☆この波形を何といいますか?
☆どうしますか?
☆そうこうして二分経ったら、モニターのように波形が変わりました(→Vfの波形)。どうしますか?
☆二分後、モニター画面は再度Vf。どうしますか?
→DCした後、CPRを始めたところで終了となりました。

<四つ目のブース>
⑥大腿神経ブロック
模擬患者の男の人がベッドに横になっていて、実際にエコーをあてて大腿神経を描出してくださいと言われました。エコー画面を見ながら、指示棒を使って、解剖(二つの筋膜や腸腰筋、動静脈)について答えさせられました。どこらへんから刺入して、どの方向に針を進めていくか、運針についても聞かれました。薬剤注入手順についても聞かれました。

⑦筋弛緩モニター
まず、実際に模擬患者の尺骨につけるよう指示されました。
☆流す電流はどれくらい?
☆尺骨以外に筋弛緩をモニターできる場所は?

⑧エコーガイド下中心静脈穿刺
右内頚静脈の場合
☆静脈を刺しやすくするためにすることは?
☆エコーガイド下穿刺を実際にやってみてください
☆ガイドワイヤーは何センチくらい入れる?何に注意する?

⑨コンニャクへのエコーガイド下穿刺
☆エコー画面上に針をしっかり描出してください。
☆薬は目標物のどのあたりから入れていく?


以上です。

9月突入後、筆記試験までに青本の口頭・実技試験の過去問は一応一通り目をとおしてはいましたが、読み込むというレベルまでには時間的余裕がなく到達できていませんでした。
そんな中、筆記試験終了後は予想していた以上に疲弊困憊となり、一週間後の口頭・実技試験まで、日々の日常業務をこなすのに精一杯で勉強が思うように進まず、気持ちだけが焦る追い込まれた状況となりました。
そんな中、先生の青本の存在には本当に助けられました。
一週間のうちになんとか青本の過去問をもう一読し、解答をできる限り頭に入れることだけに集中して過ごしました。
自力で解答を作る時間的余裕がなかった私にとって、問題だけでなく模範解答を載せてくださっていたのが、本当にとてもありがたかったです。
そして、試験までに何とか一周り読み終えられたことで、本番でも自分なりに何とか答えを絞り出して、力を出しきれるようには頑張れるはず、という自信を身につけて、本番に臨むことができました。
実際、口頭試問二問のうち一問は過去問と非常に類似した問題だったので、青本を購入し、読んでおいて良かったなと心の底から思いました。
青本の存在なくしては、私の合格はあり得なかったように思います。サラリーマン先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
心より御礼申し上げます。

大変な重責のお仕事だとは思いますが、お体にはくれぐれも気をつけられて、私のように、今年も一人でも多くの受験者が先生の手によって合格へ導かれますように、先生のさらなるご活躍を祈念しています。
これからも先生のブログを楽しみに拝見させていただきたいと思います。
本当にありがとうございました。

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