お知らせ

・57回版(最新)については”こちら"を参照
・55回の皆様の報告は"こちら"を参照
・55回の体験談については"こちら"を参照
・54回の結果と皆様の報告は”こちら”を参照
・54回の体験談については”こちら”を参照
・53回の結果と皆様の報告はについては”こちら”を参照
・53回の体験談については”こちら”を参照
52回試験の結果の詳細・感想については”こちら”、体験談は”こちら”を参照。
おすすめの本の紹介は”こちら”を参照。

2015年10月18日日曜日

体験談㉘(第54回麻酔科専門医試験)



初回受験です。2週とも神戸のポーピ泊で受けました。前泊して青本で追い込みをかけたのですが(けっこう有益な時間でした)、コンビニが近くにないのでホテル食が高くつきました(おでん定食3000円)。出費も多く、移動にも飽きましたが、遠路こられた受験者、また試験担当の先生方には休日返上でお付き合いいただき、大変だったと思います。本当にお疲れ様でした。この場を借りて感謝申し上げます(機材も含めて相当な準備があったものと思います)。
まずは、専門医申請。受験資格を得るためとはいえ一苦労でした。自身の経歴の把握から始まり、病院異動が多い方は病院の院長、部長の印鑑、麻酔症例リストを早めにゲットしておくことが大切です。学会発表の抄録も提出を求められます。Web申請は便利なようで、融通が利かない面もあり、書類申請とのダブル申請ですのでご注意下さい。また、受験票が手元にくるのが(Webから印刷ですが)約1ヵ月前なのでドギマギしました。受験票が来るまでスイッチが入りませんでしたが、前もって勉強しておくにこしたことはありません。  
今年も日麻の発表等々あり(ちょっと後悔)、家事をしないことを妻から「役立たず!」と言われ、ただでさえ忙しい学年ですから、①あまり多くの予定は入れない、②発表点数、ACLS資格などは早めに取っておくことが、余裕をもって試験に臨めるコツかと思います。

第1週目(927日)
○筆記試験(あくまで自己採点)
A問題:甘めの採点で8割取れたかどうか(100問あるので、時間に余裕がなかった)
B問題:6割あるかないかくらい
C問題:8割5分
A問題で点を稼ぐのが王道(後で知りました)ですが、勉強不足でした。A問題は皆が猛烈なスピードで解きますので、隣の人の動きで机が揺れます!焦って雰囲気にのまれそうになりました。平常心で。
B問題は(後で知りましたが)細かい知識が要求されます(麻酔科学会HPのガイドラインを見ておきましょう。知っておくだけで点数に直結します。麻酔器始業点検だけではない!)
C問題はストーリーがわかれば自信をもって先に進めます。
つまり、確実な知識を積み重ねていれば、ACいずれの問題でも役に立つと思いました。
昼休みは、A問題であやふやな知識だった部分を復習して、BC問題で役立ちました。

異型適合血、骨髄ドナーの手術、自己血貯血、TRALIなど輸血がらみの問題が多かったです。高圧酸素療法と気圧にMACをからめた問題など過去問では対応できない問題も多かったですが、選択問題ですので、やはり過去問をしておけば選択肢はかなり絞り込めます。
計算問題は深く理解していないと式だけ覚えても応用ができず、捨ててました。得点源にするには勉強量がいるかと思います。
中心静脈カテーテルの感染管理、脳死判定などはガイドラインを見ておけば容易に解答できると思いました(私はあまりガイドラインを見ていなかったので悩みました)。
新作問題はわからなくてもしょうがないですが、普段から最新のトレンドを理解しておくことは大切です。時間がない人はやはり、まず過去問でしょう。

第2週目
○口頭試験(1症例が10~15分。を2症例、計30分。)
3歳の男児。ふらつきと嘔吐。今回MRIを撮影する予定。
質問
1.この症例の問題点
2.MRIを行うに当たって注意すべきことは
気道確保の選択(挿管するシナリオでした)、酸素ボンベ、シリンジポンプはMRI対応のもの。MRI用の麻酔器はないでしょうから、麻酔科医がBVMする設定で気道管理の注意点を述べました(チューブ固定、脳圧に配慮し低換気にしすぎない)プロポフォールの投与量(導入、維持。PRISを想定しているのか?)、脳圧亢進の対応(輸液戦略について聞かれました)、
3.画像で小脳腫瘍を示され、腹臥位で10時間の手術に。
後頭蓋腫瘍の手術で注意する術後合併症(5つと言われました。。。)。「術後、オペ台からベッド移動の後、etCO2波形がゼロになりました。」考えられる原因と対応を述べよ。

79歳の女性。体格は普通。直腸がんでイレウス状態で腹腔鏡下低位前方切除術。既往に糖尿病、心房細動、脳梗塞。内服でプラザキサ。
質問
1.この症例の術前問題点(モニターに血液データ)
2.麻酔計画・・・導入方法(迅速導入)、使用薬剤
3.プラザキサの特徴をワーファリンと比べて(休薬期間、拮抗薬の有無、モニタリングなど)
4.術前の抗凝固療法の行い方(ヘパリンブリッジを行って、オペの何時間前に切るか)
5.DVTリスクと予防法(ESIPC、低用量未分画ヘパリン)
6. 術後下肢感覚障害出現時の鑑別と対応(硬膜外血腫時のゴールデンタイムなど)

接遇問題
術後の抗凝固療法(ヘパリン持続注入)を硬膜外抜去前に開始したと外科医から連絡があった。硬膜外麻酔を抜去するタイミングを外科医にアドバイスしてください。

○実技試験(10分(8分?)×4ブース、計40分)
ACLS
・意識下経鼻挿管、甲状間膜穿刺
・硬膜外麻酔、経食エコー
・神経ブロック(筋弛緩モニター装着、大腿神経の画像を出して説明、内エコー下頚CV穿刺、ファントムに穿刺)
1.  ACLS 
挿管済みの手術中の患者が脈をふれなくなり、心電図波形はある状態(PEAを答える)。まず心マ!換気は試験管(研修医の設定)に任せて、早さ深さ回数について(挿管してあるので、30:2ではなく、換気は非同期「何秒に1回」という答え方)、エピネフリンの指示(上肢挙上、生食20ml後押し)。波形がVfに変わったので除細動(二相性の機械、非同期、「離れて下さい!」)。心マは2分おき、エピネフリンは35分おき、アミオダロン300mg!と言ったところで時間終了。限られた時間なので、細かいところまで再現しなくても、キーワードを心マしながら確実に述べることで点数になると思われる。

2.  モデルさんで大腿神経の解剖+筋弛緩モニター
人形でエコー下内頸静脈穿刺、ファントムでの神経に対しエコー下ブロック(平行法)
 大腿神経は内側からVANの順。動脈と静脈の見分け方を問われました。神経はよく見えませんが、「動脈の外側で、この辺」という感じで答える。時間がないのでせかす感じ。
 筋弛緩モニターを実際に装着し、拇指内転筋の他に、もう一つ(眼輪筋、脛骨筋、すうび筋)答えさせ、何mAかと正極、負極まで問われました(眼輪筋を選択し、正負を間違えました。)。
その後、内頸静脈穿刺(ガイドワイヤー挿入まで)とファントム(中に神経っぽいものが映るようにできています)で平行法の穿刺を行いました。盛り沢山なので、「いつも通りやってくれないと時間ないよー」と言われました。つまり、ある程度流れに乗ればOKな印象でした。

3.  人形で迅速導入を行う + 緊急気道確保
準備から挿管まで(挿管しにくい!)、試験管(研修医の設定)にクリコイドをしてもらって、カフの量、薬剤の選択や量も聞かれました。次に輪状甲状軟骨穿刺を行う設定になり、隣の人形に移動。2種類のキットがあり、あまり触ったことがなかったですが、CV穿刺、ガンツを入れる要領でやりました(ダイレーターとシースが一体になってるやつでした)。解剖と、なぜ輪状甲状間膜を選択するかを問われました。試験管優しいですが、てきぱきしないと時間がおしてしまいますね。

4.  人形に対し、CSで硬麻を行う(脊硬麻針ではない)+ 傍脊柱ブロックのエコー描出
どのレベルから行うかを聞かれ、手袋をはめ、消毒からカテ挿入までの一連の流れを行いました(ちゃんとLORわかる人形でした)。
次に傍脊柱ブロックの設定と思われるが、肋骨の横断面を描出し、肋間神経の位置と肋間筋を3つ述べよ。

本当に、青本にお世話になりました。過去問をじっくりと何回も解く時間がなかったので、10年分を一度に持ち歩ける青本は最高でした。トピック毎にまとまっているのが最大の特徴ですね。
口頭と実技はホテルのワンフロアを貸し切って(グループによって、ひとつ下のフロアで行うグループもあります)、そこで部屋を出入りして一気にやってしまう感じです。同じ時間帯に同じフロアで行うグループは同じ問題と思われます。私は13時集合のグループだったので、8時集合のグループが11時にホテルフロント辺りに出てきてましたので話を聞いたところ、その内容は一切出ませんでした。問題のストックもかなりあって、時間帯が重ならないグループは同じ問題にはならないようです。僕は2日目のグループだったのですが、初日のグループがどんな問題だったのかは不明でした(知り合いがいなかったので)。
みなさんの体験談を読みながら、ペインやPALSも出題され、モデル・人形を使ったエコー手技が多く、病院によっては馴染みが薄い分野をどう対策するかが課題だと感じました。TOFウォッチを上肢以外に使うことは少ないですし、分離肺換気チューブを人形に入れて、B6を出せとかかなり難しいですよね(人形の気管が滑らないらしい)。


最後になりましたが、サラリーマン先生本当にありがとうございました。専門医として、病院、患者さん、後輩の育成のために少しでも役立てるよう精進いたします。

0 件のコメント:

コメントを投稿