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2012年5月29日火曜日
まとめ:局所麻酔薬中毒
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□局所麻酔薬中毒の症状
・典型的には血中濃度の上昇するに従い、めまいや耳鳴り、口周囲のしびれから始まり、徐々に多弁や興奮状態になり、その後意識消失、痙攣が生じる(痙攣が生じる程度の濃度では頻脈、血圧の上昇を認めるが、濃度上昇につれて刺激伝導系や心収縮力自体が抑制される)
・さらに濃度が上昇すると昏睡、呼吸停止に陥る。
・重症な場合は心毒性(血圧の低下や徐脈や頻脈、心室性不整脈、心停止)が生じる。
□リドカインの血中濃度と症状の関係
・〜5μg/ml:口周囲や舌のしびれあるいは無症状
・5〜10μg/ml:めまいや耳鳴り
・10〜15μg/ml:意識消失、痙攣(顔や指先から始まり、徐々に全身性痙攣(強直性・間代性)
・15〜25μg/ml:昏睡、呼吸停止
・25μg/ml〜:心血管系抑制
□局所麻酔薬中毒を悪化させる因子
・呼吸性アシドーシス(高二酸化炭素血症)⇒過換気では発生閾値が上昇する。
・代謝性アシドーシス
・アシドーシスによりタンパク結合率が低下し、遊離の局所麻酔薬が増加することによる。
・腎不全(血中濃度が高くなりやすい)
・高齢者
・循環血液量の減少
・高カリウム血症
・妊娠
・肋間神経ブロック、硬膜外ブロックでは血中濃度が高くなりやすい。
□局所麻酔薬中毒への対処
◯まずは・・・
・100%酸素投与。
◯痙攣が生じたら
・まずは痙攣を止めること!気道確保(筋弛緩薬を用いて挿管)。
・ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム5〜10mg、ミダゾラム5mg〜10mg程度)やバルビツレート150〜200mgなどを使用する(循環動態が不安定であればプロポフォールは使用しない)。
◯その後心毒性が出現したら
・輸液、昇圧薬などでバイタルの維持。
・必要に応じて蘇生処置をとる(ACLS)
・心室性頻拍にはアミオダロンなど(薬理学的には局所麻酔薬に類似しており、効果には疑問が持たれている)
・20%脂肪乳剤(intravenous lipid emulsion:IVLE)は、ブピバカインを始めとする治療困難な心毒性に対する有用性が示されている。初回投与は1.5ml/kgを静注し、その後15ml/kg/hrで持続。必要に応じて3〜5分間隔で初回投与量を追加(総投与量は8ml/kgに留める)。日本ではイントラリピッド®。
□補:局所麻酔薬の最大対用量(極量)
・プロカイン 12mg/kg
・リドカイン 7mg/kg
・メピバカイン 7mg/kg
・ブピバカイン 3mg/kg
・ロピバカイン 3mg/kg
(アドレナリンを含有しない場合は上記の70%程度)
□参考文献・書籍・Web
1)麻酔科トラブルシューティングAtoZ p545-549
2)麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集
3)麻酔科研修チェックノート第3版 p166−168
4)麻酔科シークレット第2版 p98-99
5)麻酔への知的アプローチ p270-276
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